導入
同人エロゲ制作者をもっと知りた〜〜〜〜〜〜〜い!!
という需要、めちゃめちゃあるのにやってくれる人あんまりいないよね…
……
……
……
じゃあ、私がやるか。
ということで始まりました。ゲーム制作者深掘りインタビュー!!
今回は記念すべき初回ということで、超BIGゲストにお越しいただきました!
DLsiteアワード2022ノミネート作品『おとなりの奥様は今日も独り2 遅咲きの青い春』でおなじみ
やさにき先生です!
Ci-enはアカウントはこちら
X(旧Twitter)アカウントはこちら
ワー!ドンドンパフパフ!
ーはじめまして!
はじめまして!
ー本日はお忙しい中ありがとうございます。こういったインタビューは初めてですか?
そうですね…どちらかというと前職はやる側だったので。
ーえ!それ私メチャクチャ緊張しますね笑。私のインタビューで満足していただけるか不安なんですけども…笑。頑張っていきます。よろしくお願いします!
よろしくお願いします!
本編
社会人時代〜同人ゲーム制作に出会うまで
ーまずは自己紹介からよろしくお願いします!
はい。やさにきという名前で活動させていただいておりまして、2020年9月ぐらいから活動を始めて、もう4年目に入るかっていうところで… 本当にありがたいことに、いろんな方に自分の作品遊んでいただいて、活動を続けることができております。
ー代表作は?
そうですね、やはり『おとなり2』になるかなと。
ー2020年の9月…調べたところCi-enを始めたのが10月となっていたんですけども。
私があれなんですよね。怠けてて…。Ci-enの開設が遅れたんですよ笑。
ー先行して作ってて、(後日Ci-enの存在に気づいた)っていうことですか?
とりあえず(作品を)作って、「あ、Ci-enっていうのがあるんだな」っていうところからスタートして、その後、遅ればせながらCi-enを開設してという感じでしたね。
ーなるほど。2020年の9月から制作を始めたということなんですけども、社会人になってからのここ(同人ゲーム制作に至る)までの来歴をお聞かせいただけますか。
そうですね、社会人になってからだと…、ちょっと変わってるんですけど、私、新卒で劇団に入団してるんですよ。
ーえ!?ゲキダンっていうと、演劇の(劇団のこと)…!?
演劇の方です。私は演者ではなくて、経営を支援する裏方というか、広報の部隊にいてWeb戦略みたいなものをしてまして。 1年とちょっとぐらいでやめたんですが。その後に8ヶ月ぐらいニートしてたんですよ。
ーはい。……ごめんなさい。ちょっと話戻るんですけど、この演劇っていうのは…ちなみにどういうものなんですかね。
ここちょっとオフレコにしてほしいんですけど……「劇団四季」に。(懇願したところ、入社から時間が経過しているということで掲載OKにしていただきました。)
ーえええええええええええええええええええええええええ!!??
いたんですよ笑
ーどういうツテで入れるんですか。それは、その…
完全に新卒の募集で。経営スタッフの募集で。
ーええー、すごい。
私、本当にコミュ障だったので新卒の就活ものすごい苦戦したんですけど、劇団四季だけ内定取ったんですよ笑。
ーいや、すごい笑。そんなことあります!?
本当に自分でもわけがわからないというかびっくりしたんですけど。◯イオンキングとかの広報を(やってました)。
ーすごい……。私、見に行ったことありますもんライ◯ンキング。東京で。しかもあれの広報をやってたんですよね。
はい。それで仕事をやめた後に、ちょっとしばらくこもっていて。そのとき、昔から憧れていた作家になる夢を追いかけてみようかなと。
ーはい。
とにかく実績を積もうと思って『小説家になろう』とかに、自分の作品を投稿したりしていて。…ただ、(時間が経って)さすがにもう遊んではいられんだろと。
ーなるほど。
ありがたいことに文章は書けたので。紆余曲折あってその後、ライターとして広告代理店に入社しました。
ーすごいですね。ライターとして正社員で入社したということ?
そうですね。会社に所属するライターの求人ってなかなか珍しいんですよ。
ーそうですよね。結構コスト的な意味で、会社からすると(正社員として雇用するのは)しんどいところではありますもんね。
そうですね。外注することがおそらく多いと思うんです。私、ライターとしての業務経験があったわけではないので。求人があったのは純粋に運が良かったなと。
ーなるほどなるほど。その求人を見つけて、そこに飛び込んだ?
そうですね。自分が得意としている分野で仕事ができるんだったらやってみようかなということで入社しました。
ー会社に勤められながらゲーム制作を始めたんですか?
実は全くそういうわけではなくて。2年弱ぐらい会社でライターを務めていたんですけど、制作業務を担当している部署の中で色々配置転換みたいなものがあって、私がすごく尊敬してた上司が退職したりだとかそういった事情で、 私もその方と一緒に辞めることになりまして。
ーはい。
その方(上司)も、ライターとして独立をしたんですね。それで私も、その上司からの仕事の紹介で、フリーランスのライターとして独立をしてみようかなって考えたのが、2017年の11月。……で、そこから完全に、ライターとして独立して企業から外注という形で仕事をもらって収入を得て生活するっていうスタイルになっていきました。そこで会社員時代よりは収入は上げられて…そこで比較的(仕事の受注状況も)安定はしていたんですが。
ーええ。
ただコロナが来てしまって。その時にやはり仕事が激減したというか、ほぼ0。
ーなるほど…、ライターの仕事について詳しくないのでお伺いしたいんですけど、ライターっていうのは基本的に企業のPRを受けるという(仕事なんですか)?
そうです。私のライティングは求人広告がメインで。
ーはい。
ちょっと企業名はオフレコでお願いしたいんですけど、◯◯◯◯(超大手人材サービス会社)
ーええ!?
○○○○から仕事を受けて。企業さんのウェブ求人広告のテキストを書くっていう仕事をしておりました。
ー求人広告っていうと…、その…「アットホームな職場です!」みたいな感じですか?
まさにそんな感じです笑
ーほえー!あれはなるほど…ライターさんが書いてるんですね。
そうです。○○○○くらいの規模になると社内にもライターさんいらっしゃるんですけど、社内のライターさんだけでは回らない時とかは我々外部の人間に仕事を振っていただいていて。それを担当していました。
ーとなると、景気の影響をダイレクトに受けるっていうところ(仕事)ではあったんですね。
そうですね。実際に自粛期間がスタートしたのが。2020年の春頃…だったかな。2020年の…どのくらいでしたっけ?
ー5月とかじゃありませんでした?(正しくは4月)
そのぐらいでしたよね。もうその辺りから仕事は実際なくて家事に専念していました。とはいえ、家事以外は本当にやることがないので「なんかないかな〜」と思って探してたんですよ。色々見てて……たどり着いたのが、同人ゲームだった。
ーおお〜!ここで!笑
ここでついに(たどり着いた)笑。
『おとなりの奥様は今日も独り』(2020年)
「(収入がほぼ0という罪悪感から)おしりに火がついた状態でした。」
ーちなみにその… 「色々調べて」っていうのは具体的には?今まで、こちらの(同人ゲームの)業界とかはご存じなかった状態からDLsiteを見つけたんですよね?
そうですね。同人ゲームに至る前に、商業のアダルトゲームとかをプレイをしてて。そこから「あ、インディーズでも結構出てるんだな」と思って、DLsiteを見るようになって。そこで1名とか2名とか、そういう小規模の開発の規模でもこれだけクオリティの高いものができるんだな、すごいなって思いまして。結構売れてるし、「この業界、結構すごいんじゃないかな」という、ちょっとビジネス的な考えで見てて。本当に全く知識がなかったんですけど、「ひとつダメ元でチャレンジしてみようかな」と思って、実際に開発ツールの勉強を始めたのは7月頃ですね。
ーなるほど。
まずフリーゲームを練習として作ってみて。どういう感じで作るのかなっていう手応えを一旦掴んでから、9月頃に『おとなり』を作りはじめました。
ー『アンドロイドは小説家になる夢をみるか?』ですよね。拝見したんですけども。
小説家になることを夢見るライター、角谷幸治は大手IT企業が企画した「ハウスロイド試用サービス」の体験者に選ばれる。自宅に…
はい。
ーあれを叩き台として作って、これいけるわ(作れるわ)となってという感じですかね。
そうです。
ーいや、面白い。 ありがとうございます。その先見の明がまずスゴイですよね。2020年の…ちょうど(同人エロゲの勢いが)キテた頃ですよね。
そうですね。あの頃から同人ゲーム業界が大きく盛り上がっていったように私も思います。
ーその一方でイラスト経験が、もうそれまで0。
はい。
ーで、プログラミングも…
全くわかりません。
ー全くわからない状態で。じゃあもうテキスト勝負で乗り込んだ?
はい。
ーすごい……。で、実際に(同人ゲームの)制作を始められて、もう結構リリース速かったですよね?
2ヶ月半…ぐらいですね。『おとなり1』は
ー規模感的には6、7時間ぐらいは遊べるくらい(のボリューム)でしたよね?
かなりゲームスピードを遅くしたからプレイ時間が相対的に長くなるという面もあったかと思いますけど、 割と…そうですね。プレイ時間は長めだと思います。
ーやはりテキストが速いから(筆が速いから)っていうところはありましたか?
そうですね。文章は書けたし、あとは本当に他にやることが全くなくて…。収入もとにかくやばいことになっていたので本当にお尻に火がついたような状態で。
ーもう結構、その……お金もカツカツの状況ではあったんですか?
嫁さんの収入が安定していたので、生活に困窮していたわけではなかったんですが、私の収入がほぼ0っていう罪悪感と戦いながら作っていました。
ーなるほど。「早いところ収入源を作らないと」っていうところで。
そうですね。
ーで、実際に2020年の12月6日に、『おとなり1』が発売されました。 この時のリリースの緊張みたいなものはやっぱりありましたか。
緊張はしたんですけど…期待値が低かったというか。本当に100本、200本売れればいいだろうぐらいの温度感でやっていたので…。
ーCi-enのフォロワーも確かその時少なかったみたいなのを拝見したんですけど。
そうですね。3桁いってたかなとか、それくらいだったと思います。
ーうんうん。3桁いってないということは100人未満っていうことですよね。そこから、1週間ぐらいで2000DL達成とあるんですけど。これは予想外でしたか?
全く予想外の売れ行きでしたね。
感謝とお詫び こんにちは、やさにきです。朝目が覚めて、DLsiteを確認したら『おとなりの~』の販売数が1000を突破し…
ーですよね。
はい。(新作)予告も出していなかったので。完全にゲリラみたいな形でリリースしました。予告作品の登録のやり方がわからなかったんですよね笑。
ー笑。なるほど。それぐらい突貫工事で、「とりあえずスピードだ」って出したっていう感じですか。
はい。そうでしたね。
ーすごいですよ。今じゃちょっと考えられないというか。無予告でCi-enフォロワー100人未満でゲリラで出して。で、(結果)ランキングにも載ってましたよね。総合3位とかで。
乗りましたね。あれは本当に驚きました。
ーその時ランキングとか見ててどういう状況でした?その、当時。
もう、ただただ嫁さんと一緒に驚いたっていう…。「なんで…?こんなに売れる……?」って。
ー奥様と一緒に見てたんですね。
とりあえず結果だけは伝えてました。当時はまだエロゲを作ってるってことは教えてなかったんです。今は教えてますが笑。
ーなるほど笑。その話、後ほど詳しくお伺いします。
エロ=背徳感、背徳感=不倫 ∴エロ=不倫
ー 作品全てをティラノスクリプトで作られてますけど、当時もツクールが主流だったと思うんですよ。
はい。
ーで、作品の傾向としても、「寝取り」っていうところで、「寝取られ」(売れ線)とは違うところある。そしてエロまでの導入時間をかなり長く取るっていう。なにかこう…全て逆張りみたいな感じだったと思うんですけども。市場とのマッチはあまり意識しなかった?
そうですね……。人気作って呼ばれるような作品はいくつかプレイさせていただいていて。「こういうのがウケるんだな」っていうのをなんとなく把握して…「エロって『背徳感』だな」っていうのを掴んだんですよね。
ーなるほど。
そこで、背徳感が1番強くなるシチュエーションってなんだろうって言われたら、「不倫」かなと。
ーはいはい…!
あと、若干私が「寝取られ」が苦手というのがありました。ネトリはいいけど、ラレはダメっていうような私個人の性癖とも照らし合わせた上で人妻寝取りモノっていうのが生まれました。
ーなるほど。かなり本質的に(エロを)見てますね。
まあ、本当に拙いながらもマーケティングみたいなことはしました。
ーありがとうございます。面白い。
『エルフと暮せば』(2021年)
「『エルフと暮せば』は1番、題材としては書きたかった。」
ー2作目の『エルフと暮せば』のゲーム内容としては、やった(プレイした)んですけど…純愛ですよね。
はい。完全な純愛ですね。
ー『おとなり』シリーズも、結局は、その…純愛のための「フリ」としての寝取りというか…そういう側面があるのかなという風に私は感じたんですけど。
そうですね。はい。
ー結構、やっぱり純愛がやりたいっていう(のが考えとしてある)…?
売れ線ではないんだろうなとは(市場の)状況を見て思うんですけど。個人的に書きやすいかなと。実を言うと題材としては『エルフ(と暮せば)』を1番に書きたかったんです。
ーその、『ロードオブザリング』の(世界観)。
そうですね、『指輪(物語)』の世界観の…古典的なファンタジーに則った、純愛もの。
ーうん、うんうん。
元々『おとなり』をリリースする前から企画はあって…… ただ、やっぱり当時の技術的な問題で『エルフ』を作るのはちょっと難しかったと。
ーその…練成技術(システム)とか、その辺りですよね?
そうですねまさに調合とか、錬成とか。その辺りのシステムを、2020年の9月とかその辺りの段階で組めなかった。そこで『おとなり』でとりあえずノウハウを積み重ねた上で、改めてチャレンジするっていうことになりました。
ーなるほどなるほど。完全に自分の得意分野で、勝負できる題材ではあったけど、技術的に後ろに回したっていう。
はい。
ー先ほど昔から親しんできた『指輪物語』に則ったと触れていましたが、ストーリー内容にもこだわりはある?
これ、言っていいのかわかんないですけど…、全3作品の中で一番思い入れがあるのは『エルフと暮せば』なんですよ。実際にこうやって自分でゲームを出すような立場になって、改めてファンタジーの世界でなにか作るんだったらやっぱり『指輪』を下地にしたものを作りたいよな。というのでああいう設定にしたんですけど。映画(ロードオブザリング)ってご覧になりました?
ーロードオブザリングですよね。見てないんですよ、ごめんなさい。
主人公ではないですけど人間の男性とエルフの女性の恋愛模様が描かれるんですよね。で、そのエルフの女性は、もちろんその作品の中では永遠の命を持ってるんですけど、人間と結婚する上で、(エルフが)永遠の命を捨てなければいけないっていう設定があるんですよ。
ーはい。
男性の方は色々冒険を経て、最終的にエルフの女性と結ばれるという展開ではあるんですけど、「(「永遠の命」という大事なものを)捨てているのは女性だけだよな」って思いまして。
ーほう…!
そこに至るまでに男性の方も苦労はあったと思うんです。ただ(エルフの方は)永遠の命っていう、ものすごいでかいものを捨てなければいけない。それは、女性の方にものすごい負担があるんじゃないかなっていうことを思っていて。(『エルフと暮せば』では)人間とエルフの恋愛模様を自分なりに描き出す時に、逆に「男が女性のために何かを捨てる」っていう選択肢を取らせたいなと。
ーなるほど。
最終的に主人公は永遠の命を得るわけなんですけど。死ぬっていう選択肢が取れなくなる。それって多分、人間にとってはとてつもない苦しみだと思うんですよ。
ー確かに。そうですね。
女性の愛を手に入れるために、人間としての在り方とかそういうのを投げうって最終的に永遠の愛を勝ちとるっていう展開を書きたかったんですよね。文字通りの意味で永遠の愛を誓うための覚悟をヒロインに示すというか。
ーうんうん。
私の中ではこれが究極の純愛だと思う。純愛を書くにあたって、私にはこれ以上のものは書けないなという、ある種の達成感みたいなものがありました。
ーちょっと見てみますね。『ロードオブザリング』。3時間ぐらいですよね。あれ。違いましたっけ。
3部作です笑。2時間半ぐらいですかね、1本につき笑。
ー笑。全然余裕で見ますよ。ちょっとこれ見てもう1回『エルフ』やってみますね。
ぜひ。
「イラストへのコンプレックスは正直、今もある。」
ー『エルフ暮せば』もリリースまで7か月ということで。相当速いですよね。これも結構なボリュームですけど。
そうですね。今振り返るとかなり速いです。
ー速いですね。めちゃくちゃ。
当時イラストにあんまり時間をかけてなかったっていうのが速かった理由かもしれないですね。3Dモデルをほぼほぼ流用してたので。
ーその、イラストのところでお伺いしたいのが「レタッチ」…って言うんですか。ちょっと私…全くわからないんですけど。その、3Dモデルに線を足して2Dっぽく見せるみたいな感じですかね。
そういう感じです。
ーなんか、そういう(0からイラストが描けない)ところでイラストへのコンプレックスみたいな… 他のゲームに対しては感じられていらっしゃいましたか。
あのー…正直に申し上げるとめちゃくちゃあります。イラストが良ければ(という気持ち)。
ー作品を通しでプレイして(イラスト力の)成長の凄まじさに驚いたので、ちょっと昔のイラストに対するお気持ちみたいなのをお伺いしたかったんですけど。やっぱりその当時は「いやこれ、絵があったら(上手かったなら)もっといけるのに」みたいな気持ちはありました?
ありましたね。例えば感想とか見てても「絵が良かったら100点だったのに」とか。 割とちょいちょい見かけるんです。なのでやっぱりイラストができないことに対してのコンプレックスっていうのは、すごい…、今もありますし。
ーCG畑とかマンガ畑の人たちがゲームに入ってくると、やっぱ(心が)ザワってしますか?
ザワつきます笑。すごくザワつきます笑。
ー今、相当ハイレベルというか…絵で入ってくれる(興味持ってくれる)人もいるぐらいのレベルだと思うんですけど。
それ(そう言ってもらえるの)はすごいありがたいことなんですけど、それでも今も3Dモデルとか、AVのパッケージとか、そういうのを参考にしながらカメラアングルとかレイアウトを考えたりしてやってるので、画力自体はあの当時からほとんど変わってないと思うんですよ。
ーなるほど。その…「レタッチがうまくなった」…みたいな?
レタッチがうまくなったんです笑。肌の塗りを変えたり、自分なりに試行錯誤はしています。
おとなりの奥様は今日も独り2 遅咲きの青い春(2022年)
「Ci-enでは「ここがエロいんですよ!」「ここがすごいんですよ!」とプレゼンしている。」
ーその後、2021年の9月末からですかね。『おとなり2』の制作を発表したという流れだと思うんですけど。
はい。
ーこの辺りからかなりCi-enの伸びというか。
はい。急速にあそこから伸び始めましたね。
ーあれは一体…?あれってどういう感じ(仕組み)なんですかね。基本的に記事を出して、いいねもらって、って流れですよね。
そうですね。やっていること自体は、それまでとほとんど変わってなかったと思うんですよね。
ーそうですよね、
はい。なので、あそこから伸び始めた理由っていうのは、正直、私もよくわかってないですね。やっぱり『おとなり1』をやってくださった方々がとても喜んでくださって、うーん…でも、それだけで伸びるかなぁ?どうなんでしょう。
ー多分、潜在的な『おとなり』(シリーズ)に対する期待感はあったと思うんですよ。『おとなり1』を出して「あ、この人きっちり寝取りゲー作ってくれるんだ」っていう下地があってからの『エルフ』が出て技術向上しているのもファンの方が見てらっしゃったと思うんで。
はい。
ーで、いよいよ『おとなり2』が出るっていうところになって、「これ次はものすごいの作ってくれるんじゃないのか」みたいな。で、おそらくやさにき先生も勝負作の意気込みでやってらっしゃったと思うんで、その辺りの掛け算なのかなとは勝手に推測してるんですけども…
であれば嬉しいですね。
ーでも、結局どういう記事が伸びるかとか、そういうのはわからないわけですよね?
そうですね。ただ、急速な伸びはなかったですけど、どういう風な記事を皆さんが求めてるのかっていうのはなんとなく掴めるようになってきて。でもそうですね…ノウハウ掴むまでだいぶ時間かかりました。
ーやっぱり、文章を生業にされていたやさにき先生からして、Ci-en記事は「勝負できる」分野ではありましたか。
(「勝負できる」分野では)ありましたが、どうしてもキャッチーなイラストとかシステムの方が目を引きやすいので、文章しかない私の場合、その点で出遅れた感じはありました。ただ、やっぱり面白い…面白いというか、皆さんが興味持ってくれるものだったりとか、 あとは題材的に面白いものを継続して出していけば読んでいただける機会はおのずと増えていくのかなっていうのは感じてます。
ー具体的なテクニック…なにか1つあげるとすれば、あったりしますか。こういう…ごめんなさい、ハウツーを聞くっていう形にはなるんですけども。
そうですね…まず自分のゲームのコンセプトとかシステムに自信を持った上で、 それがいかに独自性があって、いかにエロいのかっていうのを文章なりスクショなりでしっかり強調してあげることが大事なのかなと。
ーなるほど!確かに言われてみればそこを結構ボリューム取ってやさにき先生書いていらっしゃいますもんね。
はい。皆さんにプレゼンするような感じで。「ここがエロいんですよ!」「ここがすごいんですよ!」みたいな。
ーなるほど。広告代理店仕込みの。プレゼンをするように、ということですよね。
はい。
ーちょっと『おとなり2』の内容に戻るんですけど、勝負作となる『おとなり2』で、今までの2作品とは違う、「絶対こういうのを作るぞ」っていう気持ちみたいなのって具体的に1つ、何かありましたか?
そうですね…。
ー具体的に1つと言ったら、難しいと思うんですけども。
(『おとなり2』が)勝負作には違いないんですけど、ただやっぱり1作目からどれも本気では作っていて。そのうえで、あまり1個の作品に力を入れすぎずコンスタントに作品を出し続ける。っていうことを考えてます。私は。
ーなるほど、逆に?
逆に…そうですね。たとえば3年、4年かけて作ってらっしゃる方々もいらっしゃると思うし、それを全然否定するってことはないんですけど。ただ、 時間をかけた分売れるか、評価されるかっていうのは絶対別…ですよね。
ーそうですね。全く別だと思います。私も。
だと思うんですよ。そうなった時に、時間をかけて労力割いて作って売れませんでした。評価されませんでした。ってなった時のダメージが、多分途方もないものだと思うんですよ。
ーそうですね。自分1人だったらいいかもしれないけど。やさにき先生の場合はちょっと違ったということですね。状況が。
そうです。私はやっぱり生活もかかってるし家庭もあるし。継続して活動していく上で、1個のものに力を入れすぎる(方向性)じゃなくて、「これがダメだったら次に切り替えていこう」というくらいの温度感で、コンスタントに良いものを作り続けていきたいなと思ってます。
ーなるほど。それが結果的にファンにも喜んでもらえるっていう風に考えていらっしゃるということですよね。継続的に作品を送り出すことが。
そうですね。もちろん、こだわるところはしっかりこだわる。
「(子どもには)ざっくりシステム開発的なお仕事をしているっていうようなぼかし方をしようとは考えてます。」
ー『おとなり2』を2022年の間ずっと制作されて、リリースが年末になったと思うんですけど。ちょっとそれまでの過程もお伺いしたくてですね。
はい。
ーまず、奥様にエロゲ作ってるのがバレるっていう……
ああ、バレました笑。
ー笑。その辺り少し詳しくお聞かせ願えますか。
そうですね…言葉の端々ではどういうのを作ってるのかっていうのを話したりはしていて…もちろん直接的なことは言わないですけど。ただ、連想されるようなワードであったり、シチュエーションであったりっていうのは話していて。
ーうんうん。例えば、どういう…
「寝取り」がどうのこうの……みたいな。
ー笑。なるほど。そういう感じでちらつかせてたら急に核心を突いてきたみたいな感じですかね。奥様が。
そんな感じでした笑。
ー奥様は、調べようと思ったら調べれるんですかね。やさにき先生の作品を。
いえ、私のハンドルネームは本当に1か月前(2023年の8月)ぐらいに知ったぐらいだったんで。当時はまだ知らなかったので調べることはできなかったですね。
ーなるほど。床についてから言われたみたいなことをCi-enに書かれてたんですけど。どういう雰囲気で、その…(奥様に)切り出されたんですか。
夜に。2人でまったりしていた時に、すっと言われました笑。
ー笑。
でも、どこかで話さなきゃいけないなとは思っていたので。あんまり心臓がガシッとやられるようなショックはなかったです。
ーあ、なるほど。逆になんか言うきっかけができてよかったぐらいの(気持ち)?。
そうですね。「やっと楽になるわ〜笑。」くらいの(気持ち)。
ーそうですよね笑。次はお子さんにカミングアウトしなきゃいけないみたいなフレーズもCi-enで拝見したのですが…。
将来的には、一応ゲーム作ってるっていうことは言わないでおいて、(子どもには)ざっくりシステム開発的なお仕事をしているっていうようなぼかし方をしようとは考えてます。
ーなるほど笑。確かにその方がいいかもしれないですね。
そうですね。ゲームっていうとやっぱり「やりたい!プレイしたい!」となるので。
ーそうですよね。ゲームって言ったらそうなりますよね笑。
そうなんです。やってみたいって言われちゃうと、もう逃げられなくなりそうですので笑。
「あの(エロまでの)タメは絶対に必要だ」という自信があった。
ー話を戻して『おとなり2』のゲームの内容なんですけど。 私、プレイしまして。レビューも書かせていただいただいたんですけど。その…エロまで8時間かかったんですよね笑。
そうですね笑。長いですね。あれは長いです笑。
ー作る側として、「うわ、これ8時間かかるじゃねえかみたいな」っていう風に言われるみたいな不安はありませんでした?
いえ、「8時間かかるぜ」(ニチャニチャぐらいの感じですね笑。
ー笑。『おとなり1』で、ある程度、その(エロまでに時間がかかるという)傾向を教えてきたっていう部分もあったと思うので、その(『おとなり1』の)土台である程度分かってくれるだろうっていう気持ちがあったということですか?
いえ、むしろしっかりエロを表現するためには、「あのタメは絶対に必要だ」という自信があったので。それに関して市場のニーズは全く考えませんでした。とにかくエロいものを作る…私が真にエロいと思うものを作る上であのタメは必要と考えていました。
ーなるほど。いや、それすごいですよ。私がもしストーリー作るなら絶対1発目にエロを持ってきたいですもん笑。
笑。絶対にそれが正解(正攻法)なんですけど笑。
ーすごいですよね。なかなかそこまでちょっと振り切れないと思うんですけど、実際それが正解だったという。
はい。「そこ(エロまでの長い導入部分)で、刺さった」って言っていただけることが結構多かったので。間違ってなかったかな、という風には思います笑。
ーあれは本当に感動しました。やっぱり8時間でちゃんと春香のことを好きになりましたもん。
ありがとうございます笑。
ー8時間持たせるっていうところで多分色々な工夫されてたと思うんですけども。エロまでの導入時間で大事にしていたことって具体的にひとつ何かありますか。
そうですね、持たせる…シナリオ的に引っ張るというか。春香を知ってもらう過程を、引っ張る過程で描いていこうっていう風には思っていて。とりあえず「何が趣味か」とか「これまでどういう人生を送ってきたのか」、2章ぐらいで「実は、社長令嬢である」などの情報を小出しにして、先に進むモチベーションにしてもらおうかなっていうのは思ってました。
ーうんうん。
やっぱり、私が継続してプレイしたいと思うゲームって「シナリオが良いゲーム」なんですよ。シナリオに牽引力があるゲーム。このシナリオのもっと先…最終的にどうなるかっていうのを見たい!っていう風に思っていただける仕掛けづくりは『おとなり2』でだいぶ意識しました。
ーなるほど、8時間の間にもちゃんとサビを作ってということですよね。
そうですね。1章、2章は、まさにそういう感じで。3章からスキンシップモードでエロによる牽引。エロによる「引き」を作って、章ごとに続けていただくモチベーションになるようなポイント作りを意識しました。
ーそういう緻密な戦略があったわけですね。
そうですね。拙いながらですが。
ーそういった技術の元になるゲームというかそういうの(参考元)ってあるんですかね。
いえ、あの、完全に我流ですね。
『おとなり2』がDLsiteアワード2022ノミネート
ーその後、2023年に移って、『おとなり2』がDLsiteアワード2022ノミネート。これは率直にいかがでしたか。
そうですね。『エルフ』の時、2021年の時は分野別(受賞枠)があったんですが、(2022年に)形式が変わって。
ーそうですね。受賞されてましたね。『優れたストーリー賞』で。
あの時も本当に「もう私のクリエイター人生ここで終わっていいや」というぐらいに嬉しかったです。2022年はジャンル別がなくなって「まあ、入らないだろうな」っていう風には思ってました。
ー結構枠狭めでしたもんね。(ノミネートまでで9作品。(TOP3+ノミネート6作品+準ノミネート8作品。))その中で受賞されて…
はい、ただただ驚きですね。
ーご家族で、喜ばれましたか。
はい、喜びました笑。
ーよかったです笑。この2年強で、ここまで(DLsiteアワードノミネートまで)いくということは、やはり想像できませんでしたか?
想像は全くしてませんでした。とりあえず活動始めた当初は、細々と活動して、「家族がとりあえず不自由なく暮らせるぐらい売れれば全然いいな」という温度感でやってたんですけど、 海外展開とかも始まって…私の想像を大きく超えていく状況が続いてます。
ーなるほどなるほど、ありがとうございます。そういった状況のなかで『おとなり』シリーズを2で終わりにしたことにちょっと驚きまして。改めてそのあたりのお話をお聞かせ願えますか。
『おとなり』っていうぐらいだから、部屋の隣にいなきゃいけないかなという前提がまずあるんですけど。(そうなると)主人公の設定を考えるのがちょっと大変で…、 今まで主人公って、割と時間を自由に使えるキャラクターだったと思うんですよ。1はフリーのエンジニアですし。2は学生ですし。
ーはい。
これを例えば社会人とかにしてしまうと拘束時間が生まれてしまう。そうなった時にゲームに落とし込むのが非常に難しいんですよ。私個人としては、システムは全てエロのために奉仕するべきであると(思っていて)。
ー笑。ストーカーの時間に取るべきだと(いうこと)笑?
笑。そうです笑。ストーカーの時間に費やすべきであって、それとは関係ないフレーバーみたいな仕事に寝取りの時間を削られるようなゲームにはしたくなくて。そうなると、もう主人公と人妻の設定がだいぶ絞られてきちゃうんですよ。
ーあー…
学生もダメだ、エンジニアもダメだ。 そうなった時に、「あとはなんだ?フリーターとかか?」となって、そうなると「フリーターだと人妻と釣り合わないよな…」とか。 現実との整合性を考えた時に、シチュエーションを用意しづらくなったというのがひとつ。
ーはい。
あと、おとなりの人妻を「寝取る」っていうシチュエーションでやりたかったことをほぼほぼ全部やったというのもあります。例えば、夫が隣の部屋で寝てる時に隣の部屋でズコバコするとか。 あとは…そうですね。2人きりで温泉とか。
とにかくやりたいシチュエーションを2で全部できた。そこからやるとしたら全く新しいアプローチの人妻ものになると思うので、『おとなり』っていうシリーズでやったコンセプト自体はもうやらない。シリーズをここで畳む。っていう風な話を(Ci-enで)しました。
ーやりきったということ?
やり切ったという感じですね。
ーなるほど。(個人的に)「なんかちょっともったいないな〜」みたいな(気持ちが少しある)笑。現金な考えで申し訳ないんですけど。
そう言っていただくのは嬉しいです。将来的に絶対人妻ものはどこかでやると思いますので、将来的に期待していただければと思います。
ー楽しみにしております。…そういえば先ほど「リアルとの整合性」とおっしゃられてましたけど。やさにき先生の作品って「ゴムか、生か」「妊娠のリスク」「ゴムを0.1から0.5まで用意して〜」などのくだりがあるじゃないですか。
はい、ありますね。
ーそういう性癖に至る原体験って何かありますか?
そうですね…。今作ってる無人島の方はフィクション色強めで行きたいなと思ってるんですけど、元々は結構(リアルな)設定にこだわりたいタイプなので。原体験とかはない…というよりは単純に性癖ですね。
ー人妻性癖を植え付けたAVがあるみたいな(話を小耳に挟んだんですけど)。
ああ、それはあります笑。
ーちょっと、それ教えてもらうことってできますか?
大丈夫ですよ。〇〇という女優さんの第一作です。
ー…〇〇(検索中)……あ、この方ですか?
結構作品出されてると思うんですけど、第一作を何かの拍子に観たんですよね。まだ20代前半ぐらいの頃に。で、 PVが素晴らしくて。後ほどご覧いただければと思うんですけど。どういうのかって言うと、海沿いの街に住む人妻さんの何気ない日常を描くんですよ。爽やかなBGMをバックに。「このまま年を取りたくない」とかいう字幕が合間合間に流れたりして。で、PVの最後に、爽やかなBGMがバチっと切れて、(場面が)ホテルになるんですよ。
ーおお…!
で、素人人妻ものっていう前提なので、すごい恥ずかしそうにしながら男優さんとディープキスを始めるんですよ。
ーええ、ええ…!(前のめりに聴く)
なんだろうな、爽やかな人妻さんがホテルに来ていきなり女になるっていう落差の表現がすごく刺さって…こっからだと思いますね、私の人妻性癖は。
ーまず、いいですか?言語化(のレベルが)すごいですね?
笑。
ー確かに、今グワアアアってなりましたもん(語彙力)、私も。臨場感伝わってきました。ちょっと見てみますね、後で。
後ほど笑。はい是非ご覧いただければ笑。
無人島社員旅行記(2023年製作開始)
ーそして現在制作中の無人島社員旅行記。
ー制作割合としてはまだまだ序盤ですよね。
本当に序盤ですね。ずっと基本的なシステムを組んでいる状態で。エロに至れてないというか笑。 Ci-enとか進捗報告の内容めちゃめちゃつまんないと思うんですけど、皆さん読んでいただいて、本当にありがたいです。
ーいや、面白いですよ笑。狩猟システムのとことかですよね。
もうこんなん面白いのかなって思いながら笑。
ー大変ですよね、作りながら記事考えるというのは。
そうですね。1週間1本だと多分ネタが尽きちゃうので隔週に変えたんですけど、それでもちょっとブレーキかけないと全部語っちゃいますね。
補足質問&エピローグ
「「愛情って永遠じゃないよね」っていうのを常々思っている。」
ーここまで3作品を通して見てきましたが、3作品全てでことはありますでしょうか。
作品全体を通して常に書いてきたことではあるんですけど。「愛情って永遠じゃないよね」っていうのを常々思っていて。その人を好きで居続ける努力とか、そういうのを怠った瞬間からそういう気持ち(愛情)って衰えていくものだと思うんですよ。衰えた結果を描いたのが、『おとなり』なんです。ああいう主人公みたいなやつに付け込まれる隙を与えたのは旦那なんです。
ーなるほど。
で、「衰えるのを恐れながらも、その人を好きであり続ける努力を続けよう」っていうポジティブなメッセージを描いたのが『エルフ』なんですよね。
というので、その辺で結構私の恋愛観っていうのが一貫していて。これまで作ってきた3本の作品の中でずっと書いてこれたのかなと。ちょっと無人島はまたそこ(今までの傾向)と外れてはいくとは思うんですけど。
ーそうですよね。うん。「愛」っていうところで、ずっとそのテーマで絞ってこられてましたもんね、やさにき先生は。
はい。
「(あのゲームが)同人にはいったきっかけのひとつ。」
ーところで同人エロゲは今まであまりやってこなかったという風にお伺いしたんですけども、 最近はちょくちょくやられてるんですかね。
そうですね。ちょくちょく…作業の合間にやってますね。
ー好きなゲームとかってあったりされますか。
好きなゲームか…(長考)
ーDLsiteクリエイター一斉調査?みたいなところでは。『Teaching Feeling -傷肌少女との生活-』(等が書かれていた。)
はい。開発ツールが同じだったのでやっぱりそのノウハウを学ぶ上でもプレイしましたね。 あれも純愛ですし。
ーそうか。ティラノで、純愛ですもんね。他には何かありますか。
そうですね…。1番最初にプレイしたのが、ねんないさんっていう方の。『シニシスタ SiNiSistar』っていうゲーム。
ーアクションの!
そうです。同人ゲームの初めてはあれなんですよ。
ーそうなんですね。では結構印象に残ってる?
印象に残りましたね、あんな美麗なグラフィックであの世界観を表現できるのはすごいなって思ったのが、同人に入ったきっかけの1つです。
「本当にこれ以上の幸せはない。」
ーここまでとんとん拍子で進まれているような印象を受けますが過去の自分にもしアドバイスするなら、何かありますか?人生単位でも結構ですし、ゲーム制作単位でも結構です。
そうですね…。本当に割と運がいい人生を送ってきたなっていう印象で。まず、社会人になってからっていう話だとさっきお伝えした通り…就活で、最後の最後に、劇団四季内定取ったりとか。
ーいや改めて、そんなこと本当にあるんですね。普通ありえないですよ。
それまで「無い内定(NNT)」だったんですよ。
ーそうなんですね!
内定がなくて、大学4年の10月11月ぐらいに、「四季」の内定が出て、もう本当にあと卒業(を残すのみ)ぐらいのレベルだったんですけど最後の最後に内定を取って。その後は…ちょっと飛びますけど、仕事。ライターの仕事を失ってからこのゲーム制作を始めて、ありがたいことにいろんな人にプレイしていただいて、本当に運が良かった人生。今のところはだいぶ恵まれているので。もし何か自分にメッセージを送るとしたら、「色々紆余曲折あると思うけど、 多分何かしら行動を起こしたらなんとかなるから気楽にやんなよ」ぐらいのことを言ってあげたいですね。
ー良いお言葉ですね。「もうとにかく何か動いてれば チャンス振ってくるよ」と?
「なんかしら行動すれば、どんな結果であれ前に進むから」と。
ーありがとうございます。自分の人生で最も大切にしてる言葉は何かありますか。
うーん…(長考)
ー待ちます。
……(長考)。常日頃すごい意識してるとかではないですけど、やっぱり1個あげるとしたら、 「継続」「続ける」。
ーなるほど。詳しく良いですか?
自分の文章力っていう部分で言うと、作家になりたくて小説を書き続けたっていうのとか。 あれはもう、毎日何千字も書いて書いて書いてっていうのをやっていて。で、それが最終的にライター業にも活かせていたので、やっぱり文章を速く制作する能力はそこら辺(毎日の継続)で身につきましたし。 何にせよ一朝一夕で身につくものっていうのはないので、とにかく続けてみて、実るのをひたすら待つと。そういうようなことを今後も意識していけたらとは思ってます。
ー素晴らしいお言葉、ありがとうございます。小説自体は、もう小さい頃から書き始めてたんですか?
いえ、(小さい頃から)書いてたかって言うとそういうわけでもなくて、中学生とかにありがちな、その、いわゆる黒歴史ノートみたいなものに設定を書き殴るくらいで
ーなるほど。
そういうのはもうすごいやってましたけど…作家業では食えないだろうっていうのは、なんとなく昔からわかってたんです。
ーまあ、(一般的には)そうですよね。
クリエイターに対しての憧れは持ちつつも、そこに自分が至れる能力とか才能っていうのはないだろうと常々思っていたので、普通に就職をして普通の人生を送っていくことになるだろうと思っていたら、なんかこんなことになってしまったという。
ーいや、もう…それはもう、考えられないぐらい幸せなことじゃないですか?
そうですね。ずっとクリエイターに対しての憧れを持っていたので、実際にクリエイティブな分野で生活の糧をいただいて、そして多くの方に注目していただけているっていうのは、本当にこれ以上の幸せはないっていうか…本当にありがたいことだなと思います。
ーなるほど(じーん…)。最後になるんですけど、ファンの方に生の声で一言お言葉いただけますでしょうか。
そうですね…特別な能力とかはない…イラストもうまくないし、斬新なシステムとかも作れないですけど、これからも色々小さい工夫とかを積み重ねていって、 皆さんに面白い、エロいと思っていただけるような、そういう作品を継続して作り続けていきたいと思っておりますので、これからも応援をよろしくお願いいたします。
ーありがとうございます。やさにき先生でした。本日はありがとうございました!
ありがとうございました!
おまけ
事前質問26問に答えていただいたうえで、興味深い回答に対していくつか質問をしてみました。(回答のあとに理由をつけていただいています。)
1 金、銀、鉄、アルミニウムのうち、もっとも好きなのは何ですか?
2 自信をもって扱える道具をひとつあげて下さい。
3 女の顔と乳房のどちらにより強くエロチシズムを感じますか?
4 アイウエオといろはの、どちらが好きですか?
5 いま一番自分に問うてみたい問は、どんな問ですか?
6 草原、砂漠、岬、広場、洞窟、川岸、海辺、森、氷河、沼、村はずれ、島。ーーどこが一番落ち着きそうですか?
7 白という言葉から連想するものをいくつかあげて下さい。
8 好きな匂いを1つ2つあげて下さい。
9 もしできたら、「やさしさ」を定義してみて下さい。
10 一日が25時間だったら、余った1時間を何に使いますか?
11 現在の仕事以外に、以下の仕事のうちどれがもっとも自分に向いていると思いますか?指揮者、バーテンダー、表具師、テニスコーチ、殺し屋、乞食。
12 どんな状況の下で、もっとも強い恐怖を味わうと思いますか?
13 何故結婚したのですか?(していないのですか?)
14 きらいな諺をひとつあげて下さい。
15 あなたにとって理想的な朝の様子を描写してみて下さい。
16 一脚の椅子があります。どんな椅子を想像しますか?形、材質、色、置かれた場所など。
17 目的地を決めずに旅に出るとしたら、東西南北、どちらの方角に向かいそうですか?
18 子どもの頃から今までずっと身近に持っているものがあったらあげて下さい。
19 素足で歩くとしたら、以下のどの上がもっとも快いと思いますか?大理石、牧草地、毛皮、木の床、ぬかるみ、畳、砂浜。
20 あなたが一番犯しやすそうな罪は?
21 もし、人を殺すとしたらどんな手段を選びますか?
22 大地震です。先ず何を持ち出しますか?
23 宇宙人から<アダマペ プサルネ ヨリカ>と問いかけられました。何と答えますか?
24 何のために、あるいは誰のためになら死ねますか?
25 女性のどういう性質にもっとも惹かれますか?
26 何故、今回のインタビューに答えたのですか?
『谷川俊太郎の33の質問』『海のビー玉』より抜粋。一部改。
1 金、銀、鉄、アルミニウムのうち、もっとも好きなのは何ですか?
金。見た目が綺麗だし劣化しないので。
2 自信をもって扱える道具をひとつあげて下さい。
キーボード。毎日使っているので。
ーこれは?
他に思いつかなくて。道具ってなんだ?道具ってどのレベルだ?とかごちゃごちゃ悩んでたら…まあ普通にいつも使ってるし、キーボードかなと。
ーちなみにどういうものを使ってますか。
REALFORCEっていうやつを使ってます。これは打鍵感がすごい柔らかくて、長時間使っても疲れないやつなんですけど。
ー……(検索中)。良いやつですね。
3 女の顔と乳房のどちらにより強くエロチシズムを感じますか?
乳房。私という雄の本能が母性を求めているから。
ー愚問でしたかね。
そうですね。私が常々、おっぱい星人を標榜しているので。
ーあ、そうですね。はい笑。
これしかないだろって感じですね笑。
4 アイウエオといろはの、どちらが好きですか?
いろは。言葉の響きに奥ゆかしさを感じます。
5 いま一番自分に問うてみたい問は、どんな問ですか?
「今、幸せですか?」 間違いなく幸せなんですが、再認識したいので。
6 草原、砂漠、岬、広場、洞窟、川岸、海辺、森、氷河、沼、村はずれ、島。ーーどこが一番落ち着きそうですか?
草原。だだっ広いところで深呼吸したら気持ちも落ち着きそう。
7 白という言葉から連想するものをいくつかあげて下さい。
パンツ、精液、牛乳。
ーこれ母乳の間違いじゃなくてですか。
…まあ母乳ではないですね。母乳…は、若干黄色いかなって。
ーなるほど。さすがですね。
「だったら精液も黄色いだろ」とかツッコミどころは色々あるんですけど。そんな感じかなと。
ーそうなんですね。いや、この(パンツ、精液の)流れで牛乳?って思いまして。
確かに笑。統一感ないですね笑。
8 好きな匂いを1つ2つあげて下さい。
柑橘系の匂い(レモンとか)、コーヒーの匂い
9 もしできたら、「やさしさ」を定義してみて下さい。
他人の気持ちに共感し、寄り添うこと。
ーこれもう一言、ちょっと掘り下げることできますかね。ちょっとやさにき先生(言語化が)上手なのでお伺いしたいです。
やさしさ…対人における優しさっていう点で言うと、相手が今何を考えて…もし苦しんでいたとしたら、その苦しみがどういうものかとかどういう前提のもので生じているものなのかっていうのをまず察してあげて、理解してあげて。で、解決には至らずともとりあえず「辛かったね」とか「頑張ったね」とか共感してあげる。それによって相手の心が少し軽くなったりとかすることもあるんじゃないかなと思うので、共感して寄り添ってあげるっていうことがやさしさなのかなと個人的には思ってます。
ーなるほど、ありがとうございます。やさにき先生めちゃくちゃ喋りうまいですよね。
とんでもない。
ーさすが営業でやってた人だなって(思います)。すごい。
10 一日が25時間だったら、余った1時間を何に使いますか?
寝る。休息は大事。
11 現在の仕事以外に、以下の仕事のうちどれがもっとも自分に向いていると思いますか?指揮者、バーテンダー、表具師、テニスコーチ、殺し屋、乞食。
表具師。黙々とやる仕事が好きだし、得意なので。
12 どんな状況の下で、もっとも強い恐怖を味わうと思いますか?
家族の身に危険が及んだとき。
13 何故結婚したのですか?(していないのですか?)
死ぬまで隣にいてくれる人がほしいと思ったから。
14 きらいな諺をひとつあげて下さい。
長い物には巻かれろ。簡単に巻かれるな。尖っていけ。
ー ま、ちょっとこれはあれですよね、「長いものには巻かれろ」って、ちょっと言葉(語感)がイヤですよね。
そうですね、ちょっとその言葉(語感)がアレっていうのもやっぱりあるし。それで(我を通すと)トラブルは絶対起こるんですよ。私はやっぱりコミュニケーション能力が低いので結構会社の方でも色々トラブったり失敗したりして。
ーそうなんですか。ちょっと(インタビューの印象からは)考えられないですね。
いやいや、本当に会社では生きていけない人間だなって常々思ってましたね。でも、やっぱり自分のこだわりを貫き通せるっていう状況(性分)を生かして今があるので…。もちろん(会社員などの環境では)自分が置かれてる状況に適応していかなきゃいけないなとは思うんですけど。少なくとも今、私が置かれてる(ゲーム制作の)環境では、誰かに指図されてどうのじゃなくて、自分の信じる道を貫き通すっていうところが1番大事だという風には思っていまして。その上で、そのことわざ(「長いものには巻かれろ」)を見た時には…うーんってなりますね。
ーなるほど。…「寄らば大樹の影」とかだったらどうですか。かっこよくないですか。ちょっと。
あ〜笑。なんか語感もあるのかなぁ笑。そうやって思ったら。なんか悪くなさそうな感じはしますね笑。
ーちょっと良くないんですよ。この言葉(「長いものには巻かれろ」)が。
笑。
15 あなたにとって理想的な朝の様子を描写してみて下さい。
目覚ましが鳴る前に起きて、小粋な音楽を聴きながらのんびり朝食を摂り、家事を片付けてから仕事に向かう。
16 一脚の椅子があります。どんな椅子を想像しますか?形、材質、色、置かれた場所など。
仕事部屋で使っている黒い作業椅子。背もたれが大きくてくつろげる。
17 目的地を決めずに旅に出るとしたら、東西南北、どちらの方角に向かいそうですか?
北。北国の文化が好きなので。
ーこれは、あれですかね、やはり『指輪物語』とか、そういう世界観(が好きだから)とかですか。
いや、これはちょっと日本限定みたいな感じになっちゃったんですけど。東北の民話とか、そういうのに興味というか関心があって。寒い地方って雪とかで家にいることが多くて、物語が発達するんですよね。で、そこで生まれる物語っていうのは、妖怪とか、とても魅力的だと思うし、 気候というか、北の環境が育む人間の想像力とか文化とか、そういうのに触れたいなという意味で北を選びました。
ーほえ〜、めちゃくちゃエピソード出てきますね。全部(全問)聞きたいぐらいの気持ち。
18 子どもの頃から今までずっと身近に持っているものがあったらあげて下さい。
幼稚園の頃から使っているハサミ。30年近い付き合いになりますが、サビやベタつきはありません。
ーこれちょっと画像で見せてもらうことってできますか。
どうぞ。
ー年代ものですね。
はい。もう幼稚園の時から使ってるやつで。
ーいやでも本当に綺麗ですね。
そうですね。ま、綺麗…綺麗というとあれなんですけども。サビとかないですよね。未だに切れ味を全然保ってる。
ーこれはなにか磨いてたりするんですか。
あ、全然そんなことないです。手入れしたこと無いです。
19 素足で歩くとしたら、以下のどの上がもっとも快いと思いますか?大理石、牧草地、毛皮、木の床、ぬかるみ、畳、砂浜。
木の床。程よく冷たくて気持ちよさそう。
20 あなたが一番犯しやすそうな罪は?
道交法違反。車の運転が下手くそなので。
21 もし、人を殺すとしたらどんな手段を選びますか?
鈍器で頭をぶん殴る。強い殺意を感じてる相手なら、殺した実感を味わいたい。
ーまず良い回答ありがとうございます。ちょっと意外性がある答えだったので、ちょっと詳しくお伺いしたいんですけど。
はい。なんだろう…全然設定(現実味)とかそういうのを考えないのだったら、銃とかでもいいのかもしれないですけど。
ーはい。
現実的に考えて、さらに自分の「人を殺したい」と思う心情を考えたら、自分の憎しみをぶつけて、「今こいつをぶっ殺したぞって思った感覚」、あと人を殺したっていう罪というか。そういうのを自分の中に刻み込むっていうのであれば、やっぱり鈍器だとか、 直接石でぶん殴るとか…そういう原始的な行為だと思います。
ーなるほど。ありがとうございます。『おとなり2』の主人公の赤字デカ字の感じで殺す?
笑。そうですね。その感じだと思います笑。(現実には殺したくなることは)無いと思うんですけど笑。
22 大地震です。先ず何を持ち出しますか?
財布。現金はなんだかんだあった方がいい。
23 宇宙人から<アダマペ プサルネ ヨリカ>と問いかけられました。何と答えますか?
首を傾げて沈黙。何もわからないのにわかった風に話すのは宇宙人に失礼。
24 何のために、あるいは誰のためになら死ねますか?
嫁さんと息子。
25 女性のどういう性質にもっとも惹かれますか?
女性の性質。そうですね…。私の作ってるゲームにしばしば反映されてるんですけど、母性なんですよね。包み込むというか、そういう優しさみたいなのに引かれる部分はやっぱり1番大きいかなと思います。
26 何故、今回のインタビューに答えたのですか?
聞かれたので。
ー(最後なのに)冷たくないですか?
笑。えーっ……?いや本当に…聞かれたから笑?ちょっと思い浮かばなくてそんな感じになっちゃいました笑。
ー笑。
完。